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2005/08/22 (Mon) 13:39

「セックスってさ、運転と一緒だと思うんだよね」
「どこが」
「ほらアクセル踏んでも鍵がちゃんと穴に差し込まれてないと車動かないじゃん」
さっきから昼のミスドに到底似つかわしくないカップルの会話が聞こえる。
スピードワゴンの小沢みたいな気障ったらしい持論をしゃあしゃあと展開している男と、
男にさほど興味のなさそうな女が自分の席から斜め45度のテーブルで対峙していた。
彼の言い分をかいつまんで説明すれば、
こちとらやる気満々なのに相手にその意思はないから夜の生活がとんとご無沙汰で、
「今晩しようよ」と向かいの彼女に言いたいんだけどオブラートに包む勇気がなくて、
俺なりに気を遣って喋ってるんだ、とアピールしてるんだ、ということらしい。
でも斜め45度の彼は、正直哀れだった。
落とし穴か行き止まりしかない迂回路を、行ったり来たりしているようにしか見えなかった。
面白い日記を書いて「おもろ」といって貰いたいがために、
普段使わない漢字や横文字を並べ立てていた小学生の頃の自分みたいだと思った。

そんな私は昨日、いい歳してホームセンターで迷子になった。
「いい歳」っていうのはたぶん「分別のある年齢」を指すんだろうけど、
その点「『分別』より『女満別』の方が語呂的に好きだなあ」と考えてみたり、
家まで歩いて帰れる距離なのに面白半分で係員に放送を頼む私は小学生以下で、
結果罰が当たったのか、呼び出しをかけても連れの誰一人として迎えには来なかった。
「うーん、先に帰ったんだと思います」と逃げ口上を残して迷子コーナーから立ち去り、
家具に園芸、作業着と目に付く品を物色して回っているうちに、
化粧品売り場で試供品の石鹸を配る今宿麻美似の女の子に仕事を手伝わされていた。
「ちょっと君、さっき迷子コーナーから出てきたっしょ。だっさー」
「あの貴方、とても香水臭いですよ。これじゃ歩くブルガリ、『ブルガリータ』じゃないですか」
「は何それ。どうでもいいけど。つーか暇なら配んの手伝って。いいよね、はい決まりー」
今宿さんはロレアルパリやパンテーンのCMに出てても不思議じゃない健康そうな髪と、
見る者すべてに「苦労知らず」という言葉を思わせる、美しく長い爪を持っていた。
「苦労をしただけ髪は伸び、楽をするほど爪伸びる」とはまさに彼女のことで、
「純粋培養のビニルハウスガール」
「現代に舞い降りたマリーアントワネット」
TBSのスポーツ中継風に形容して一人、胸の内で楽しんでいると猛烈にどつかれた。

そんなことを思い出していたら、男の方が突然席を立った。
「ちょっと小便」と言って彼はトイレに向かったが、実に長い、大便のような小便だった。
すると、それまで男の戯れ言に「うん」「まあね」と適当な相槌を打っていた女が動いて、
涼しい顔のまま、男の珈琲カップにありったけのシロップと角砂糖を溶かし込んだのである。
そうとも知らずにやっこさん、
席について早々それを口に含んだ途端、「あんまーい!」と全部吐き出した。
数分前の小沢が今は井戸田だった。男は見事な変わり身で一人二役を演じて見せたのだ。
どうやら彼に相方は必要なさそうだ。破局もそう遠い話じゃないかも知れない。
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