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2005/08/10 (Wed) 16:38

定期券の有効期限が8月8日で切れていたので、
その日は「自分マイル」を稼ぐことにした。自分マイルは自分のマイルという意味だ。
自分マイルだから当然溜まった溜めたと騒いだところで神様は大人しい、何もくれない。
まあ正常な人間なら分かるだろうけど、「自分マイルを稼ぐ」っていうのはほら建前やね。
異常な人間の本人至って正常と言わんばかりの妄言というか逃げ道というか、
要するに二時間ドラマの冒頭で殺される遠藤憲一とか尾美としのりみたいな奴が
行き止まりって知りながらついつい逃げ込んでしまう常道みたいなもんで、
自分の場合も本当は二日酔いを醒ます体のいい寝床を探していただけである。
かといって昨晩に気心の知れた友人達としたたか酒を飲んだことを後悔するわけでもなく、
むしろかねてよりなんつーかなー北川悦吏子もずっと書いてるような
「遠距離恋愛は長続きするか」だの「異性間の友情は存在しうるか」だの些末な問題を
アルコールが入ってる割りにはみんな至極まっとうな顔の風で語ったことを楽しく回想した。
「合コンすれば盛り上がるし海岸歩けば声もかけられるけどそこから何の進展もない」とか
「そもそも現在の職場にそんな出会いはない」みたいな、本来げらげらと笑うべき類の話を
誰もが奉行所の白州で沙汰を受ける庶民のごとく神妙な面持ちで聞くのだから笑うしかない。
笑うしかないのだが自分も勿体ぶった表情でへむへむへむれんさんと頷きながら
「おう熊おめえのかかあは今日も今日とて金の無心かい酒飲みの女房てな大変だねえ」
「なんでい八んとこも夕べっから見かけねえじゃねえかさては愛想尽かして逃げられたな」
といった具合で四方山話の山手線に知らず知らず乗せられてうへやあ。

10年前ならBGMにCAGNETが流れてそうなトークをカラオケ挟んで四六時間も続けたのち、
気付くと本物の山手線に乗っていた。単身だった。口臭は酷く次の停車駅は恵比寿だった。
どうやら総武線でいったん千葉まで行ったらしい。
ひょっとしたら自分はこのまま房総半島最南端の野島崎に強制連行されるのではないかと
酩酊の頭でも恐ろしくなって上り電車に乗り換えたつもりが途中京王線に乗り換えたようだ。
調布にまで足を伸ばしたと見えてどうも衣服に調布の臭いがする。
それでもどうにか恵比寿に近づき皇帝ペンギンの映画でも見ようかと一瞬思ったが、
魚肉ソーセージの絵が浮かんできたので気持ち悪くなって近くのラブホで休むことにする。
焼鳥屋で腹ごしらえしてから無心でぶらぶら歩いていると、
ちょうど一軒のホテルから出てきたカップルから「すげえよあのバス」と劇的に勧められて、
受付に案内されるがまま一番値の張る部屋のレインボージェットバスで三時間眠った。
万華鏡はこの世の物だが、たしかにこの世の物とは思えない万華鏡のようなバスだった。

というわけで郵政が民営化されようが衆議院が解散されようが、
はたまた選挙の投票日が9月11日だろうが、当日は恵比寿に足を運ぶことになりそうだ。
別にラブホ未経験の人やラブホでやる行為が未経験の人を挑発しているわけではない。
単に8月一杯は無闇矢鱈と予定が立て込んでいて一日どフリーなのがその日ぐらいなのだ。
それにセックスもしない。
そういえば素面の会話に「セックス」という単語が混ざっても動じなくなった。複雑だ。
中学生同士すれ違い様に「セックス!」「セックス!」と照れ隠しに挨拶していたのはとうの昔、
今では一日を五線譜とするならセックスはト音記号か休符終止符のようになってしまった。

まあ要するにラブホイコールセックスとは限らないのである。
仮にラブホという平坦な戦場で生き抜くために必要なのがちんことまんこの吉原炎上だとして、
自分にはそのどちらもついてないつんつるてんと言い切ってしまえばそれきりの話だし、
ライブハウスで音楽家の名前や楽曲のフレーズをシャウトしなければならない道理はないし、
山手線に乗り込んだら終電までにどこぞの駅で必ず降りなければならない言われもないし、
昨日のラテ欄に「渡る世間は鬼ばかり(最終回)」とあったはずが
今日のラテ欄に「渡る世間は鬼ばかり(再放送)」と書かれていること以上の不条理はない。
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