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2005/08/07 (Sun) 16:43

喜多嶋隆の有名な小説に「ブラディマリー」シリーズというのがあるけど、
この酒が貧民窟ではお目にかかれないカクテルと知ったのはつい最近のことだ。

デラウェアを皮ごと平らげてしまうほどに無頓着な私は、
その日も六本木に来てくれと連絡を貰ったところでルノアールとシャノアールはもちろん、
アマンドとルマンドの違いもわからぬまま二三十分ほど夜の街をさまよったあげく、
ミルフィーユのような分厚い白粉を纏った男に手を引かれて目的地のクラブに到着した。
中ではすでに出来上がった二十代と縮み上がった十代との間に確実な温度差があり、
そのどちらでもないニュートラルな状態の私はビールとハイライトを両方から勧められた。
寝不足で、正直酒も煙草も受け付けられる身体ではなかった。
小さなフロアで腰をくねらせるダンサーの女の子達を眺めていると途端に眠気が襲う。
そして、「コーヒーが飲みたい」とオーガナイザーの後輩に声をかけてすぐ、
「もっといいモンありますよ」と目の前に差し出されたのが、あのブラディマリーだった。

近くでは自分の後に入ってきた男の客がアプリコットクーラーを注文していて、
どうも一見さんの酔っぱらいらしいということで黒人のガードマンから袋叩きに遭っている。
ドイツ製のソファよりもっとごつごつした椅子に座りたくなってカウンター席に向かうと、
スーツの上からでも見事な逆三角形とわかる細身の男がジンフィズを飲み干していた。
同級生だった。名字で呼ぶと「違う『DJなんちゃら』だ」といわれた。なんちゃらは忘れた。
今は新宿で週一はレコードを回してるんだと聞かされたのだがふーんと言うしかない。
他人の自慢話に対して、可能な限り打てる最高の相槌とは何だろう。
友情だけで本心から感心するのなんて無理だ。ふーんでいいのだふーんでと諦めた。
彼との唯一の共通点は中学の学園祭でルパン三世の芝居をやったことだ。
そのころバリバリの水泳部だった彼は季節感を度外視した長髪のうじきつよしだった。
石川五右衛門をやると立候補して剣道部の部室から竹刀を盗み「斬鉄剣や」といった。
私は当時波平の声真似が上手かったのでカリオストロ伯爵の執事に選ばれた。
そんなことを思い出してから改めて周りを見るとさっきの酔っぱらいはもういなくて、
代わりにフロアの片隅で血の塊が幾何学的な模様を描いていた。
同級生に「怖いから俺寝る」と告げ、突っ伏してしばらくすると「夜明け」という声が聞こえた。

地上に出ると、ゴミを漁るカラスの横でメッシュのタンクトップがホームレスを脅している。
私はビッグイシューの宣伝をしていた別のホームレスからプラカードを借りて、
「愛!と!平!和!」と叫びながら針穴に糸を通すヤン・ゼレズニースタイルで投擲した。
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Comment


おもしろいのになあ、誰も読んでないんかなあ。
みんな網膜剥離ちゃうか。
俺がなんかの雑誌の編集者だったら絶対執筆依頼するのに。
まあ違うけど。おれ全然編集者じゃないけど。むしょくだけど

>とろいか
おもしろくしようとか、誰かに読んでもらおうとかって考えてるんだけどね。
とにかく、リピーターを増やすには何のサイトかはっきりさせる必要があるんだって。
うーん、ここって自分でも何のサイトか断言できないなあ。カテゴリー「雑記」だもん。
たぶんみんな以上に網膜剥離なのかもしれない。違うけど。まあ目は悪いけど

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